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セーフィーの情シスがアジャイルを導入して変わったこと:停滞したタスク管理から成果を出すチームへの変革

はじめに

セーフィーの情報システムグループでグループリーダーをしている松尾と申します。

セーフィーは「映像から未来をつくる」というビジョンのもと、クラウド録画サービスを提供しています 。私たちのサービスは、防犯・見守りに留まらず、業務効率化や現場DXなど、様々なシーンで社会の「安心安全」を支えています。

情報システムグループ(以下、情シスG)では2025年1月から半年ほど、アジャイルを導入したプロジェクト・タスク管理を実施しました。

今回はこちらの取り組みについて、主に以下の内容を書いていきたいと思います。

なぜアジャイルを導入したか

「日々の問い合わせ対応に追われ、本来注力すべき中長期的なタスクがなかなか進まない…」多くの情報システム部門が抱える悩みではないでしょうか。

私たちセーフィーの情シスGも例外ではありませんでした。タスクは常に「実施中」のまま停滞し、定例報告は「進んでいない状況」の共有になりがちで、チームの士気にも影響が出始めていました。

具体的には以下のような問題がありました。

  • 日々の社内からの問い合わせ対応と、目標設定に紐づく長期的なタスクを並行して実施しており、目標に紐づく長期タスクは各自が開始と終了を設定して進めているが、突発的な業務などにより、タスクの進捗が遅れがちになっていた
  • その結果、タスクがずっと「実施中」のままとなり、進捗が見えづらい状態となっていた
  • 2週間毎に実施している定例では「タスクが進んでいない状況」を共有することになり、メンバーのモチベーションも上がらない状態になっていた
  • 進捗が見えないため、適切なタイミングでチームでサポート出来ないというジレンマがあった

これらの課題を解決するため、情シスGでは以下の目的を掲げました。

  • 無理のない形でメンバーが成果を出せるようにする
  • そのために、成果を可視化し、チーム内外にすぐに共有できる状態を作る
  • 目標設定の状況を明確にし、進捗を正確に把握できる状態を作る
  • 目標達成までのプロセスを細かく刻み、その方法が適切か、より良い方法はないかを常に探求できるようにする
  • 定例会議を、単なる進捗報告ではなく、成果を共有する場にする

これらの目的を達成するためのアプローチとして、私たちは「アジャイル」な働き方に着目しました。

どのようにアジャイルを導入したのか

アジャイル勉強会の実施

まず、チームでアジャイルを始めるにあたり、セキュリティチームと合同でアジャイルの勉強会を実施しました 。詳細はこちらの記事をご覧ください。

参考記事

engineers.safie.link

この勉強会を通じて、アジャイルを導入する際には以下を気をつけるということを学びました。

  • フレームワークの「やり方だけ」を取り入れることはしないこと
  • アジャイルの原則とプラクティスの目的を理解し、現状のチームに合ったものを取り入れ、自分たちのものにしていくこと

上記をふまえ、情シスGに合う形で以下のような形でアジャイルを取り入れてみることにしました。

  • まずは「半年間のトライアル」として始めてみる
  • アジャイルの専門用語はできるだけ使わない
  • 情シスGの中で取り入れられることだけを利用する
  • 最終的に、この仕組みがメンバーが無理なく成果を出すための仕事の仕方の型として定着することを目指す

スプリントの実施

2週間を1つのスプリント(期間)とし、以下のサイクルで業務を進めていきました。

  • 2週間でやること決め(スプリントプランニング)
    • 2週間で実施することを決める
  • 朝会(デイリースタンドアップ)
    • 毎日実施し、問い合わせ対応とタスクの進捗状況、困っていることを確認する
  • 定例(スプリントレビュー)
    • 2週間で実施した成果を発表する
  • ふりかえり(スプリントレトロスペクティブ)
    • 2週間の振り返りを実施し、その中で優先度の高い対応すべきタスクを決める

情シスアジャイルプレイブックの作成

特に意識したのは、単にフレームワークを導入するだけでなく、「なぜこのプラクティスを行うのか」という目的意識をチーム全員で共有することでした。

そのために、各プラクティスの目的や具体的な進め方を「情シスアジャイルプレイブック」として言語化しました。 このプレイブックは、途中でチームメンバーが変わっても「無理なく成果を出す仕組み」が継続されるための、私たちのチームの重要な道しるべとなっています。

記載した主な内容

  • 背景:なぜ情シスGがアジャイルに取り組むのか
  • 目的と具体的な進め方
  • スプリント(2週間)の進め方
    • 2週間でやること決め(スプリントプランニング)
    • 朝会(デイリースタンドアップ)
    • 情シス定例(スプリントレビュー)
    • ふりかえり(スプリントレトロスペクティブ)

Notionページに情シスアジャイルプレイブックをまとめています。

アジャイルを実施するための環境づくり

アジャイル導入と並行して、メンバーが目標設定に集中できる環境づくりも進めました。

具体的には、やり方がある程度決まっている定常業務のマニュアルを整備し、業務委託のメンバーに対応してもらう体制を作ることで、正社員メンバーが課題解決に集中できるような環境作りを進めました。

どのような変化があったか

スプリントを進めていく中で、以下のような変化が現れました。

スプリント開始1ヶ月ほど

  • プロジェクトの全体像を把握できるようになった
  • 目標に沿って一日のタスクを可視化できるようになった
  • 自分の目標と進捗を以前より意識するようになった
  • 他のメンバーが何の目標を立てているか分かるようになった
  • やることが明確になり、目標やマイルストーンを立てることで相談しやすくなった

2週間単位のスプリントを意識し、具体的に何回のスプリントでプロジェクトを終わらせなくてはいけないと考えたことで、プロジェクトの全体像を意識し、どこまで実施すれば完了なのか、ということを考えるようなったという意見が出てきました。

また、スプリントでは必ず設定したタスクを完了する必要があるため、完了するために今日はどのタスクをやるべきかを意識するようになりました。

タスクを意識することで、進めるうえでの課題点が分かるようになり、チームで相談がしやすくなりました。

2回目スプリントのふりかえりの様子

スプリント開始2ヶ月ほど

  • (アジャイルブックの作成により)タスク管理の取り組みを言語化できた
  • ゴールが抽象的なプロジェクトへの恐怖感が少なくなった(とりあえず2週間のタスクを決めて進め、都度修正していくサイクルが出来てきた)
  • タスクのプロセスを意識し、できるだけ細かくタスク化するようになった
  • タスクを細分化することで、スケジュールに沿った対応ができた
  • 突発的なタスクを考慮して、バッファを持たせた目標設定をする感覚が馴染んできた
  • 前回の振り返りと比較することで、より意識して目標管理に取り組めるようになった

2週間単位での仕事の進め方に慣れてきたこともあり、チームで2週間で実施可能なタスクの量の感覚が少しづつ分かってきたという意見が出てきました。その結果、突発的なタスクを考慮し、ある程度バッファをもたせた目標設定が出来るようになってきました。

また、2週間でタスクが区切られているということから、ゴールが抽象的だったり全体のタスクサイズが分からないものでも、とりあえず2週間で出来る事を決めて、都度方向を修正していく仕事の進め方が出来るようになってきました。

細かい改善の例

スプリントを繰り返す中で、タスク管理の方法を細かく変更をしていきました。

今回は一例として、朝会の運営方法をどのように変更していったかをご紹介します。

  • 課題: 朝会のスピード感がない
    • 改善策: Backlogの表示をガントチャートからボード形式に変更。「今日やること」のステータスを追加し、現在取りかかっているタスクを分かりやすくした
  • 課題: 誰かが困っていても、その内容が分かりづらい
    • 改善策: 当番制だった朝会のファシリテーションをグループリーダーに固定 。各パートでメンバーに「確認したいことはありますか?」という問いかけを入れるようにした
  • 課題: 「2週間やること決め」の場が、ただタスクを各自が決めるだけの場になってきている
    • 改善策: 「2週間やること決め」でメンバーが2週間でやることを決めた後に、疑問点や知りたいことなど皆から意見をもらう問いかけを追加し、コミュニケーションの場にするようにした
  • 課題:困っていることの相談が解決策の議論にまで発展し、朝会が長引いてしまう
    • 改善策: 朝会を2部制に変更。前半は定常業務中心のヘルプデスクパートとし、非定常業務の相談は後半に回すようにした
  • 課題: 問い合わせ対応を誰がやるか、お見合いになってしまう
    • 改善策: チームで話し合い、一旦の対応として問い合わせ対応をチケットごとの輪番制に変更した

このように、2週間ごとにふりかえりと細かい改善を繰り返すことで、朝会の運営方法を少しずつ改善していきました。

半年間を振り返って

半年間のトライアルを経て、チームには以下の変化や文化が定着しました。

  • 細かい確認と改善を繰り返す仕組み(アジャイルな仕事の進め方)がある程度、チームに定着した
  • 2週間ごとの定例が、成果を発表できる場になった
  • 細かく成果を発表していく仕組みになったことで、目標設定の評価が以前より書きやすくなった
  • 非定常の問い合わせ対応をタスク毎の輪番制にすることで、チーム内でのノウハウ共有が進んだ。やったことのない分野もやってみる文化が根付いてきた
  • 「完璧でなくてもいいので、とりあえずやってみる。解決しなければチームのメンバーに相談する、プロに頼る」という雰囲気が定着した
  • 「頼ることは悪いことじゃない」というマインドが浸透した

細かい確認と改善を繰り返す仕事の進め方が定着したことで、プロジェクトを進めるうえで手戻りが少なくなったり、方向性を修正しながら動くということが出来るようになりました。

特に、とりあえずやってみて、分からなければチームに相談する、頼ることは悪いことではないという文化が定着したことは、チームにとっても非常に重要な事だと考えています。

上記の文化が定着したからこそ、問い合わせ対応の輪番制でメンバーが実施したことがない問い合わせがあった場合でも積極的に対応したり、難易度が高いプロジェクトについてもまずはやってみて、チームに相談して進めていくことが出来るようになったと感じています。

半年間のトライアルについてふりかえりをした様子

おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回は、セーフィーの情報システムグループが取り組んだアジャイル導入の道のりをご紹介しました。

今回のアジャイルの導入はこれで終わりではなく、今回の取り組みでチームに今後も改善を続けていく予定です。

私たちの試行錯誤の過程が、同じようなチームの課題に悩む方や、情報システム部門の働き方に関心のある方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

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