こんにちは!第5開発部業務システム第1グループの常世田です。 この記事はセーフィー株式会社 Advent Calendar 2024の12月20日の記事です!
2024年4月1日、顧客お問い合わせ対応ツールをZendeskからSalesforce Service Cloudへ移行しました。移行前は営業部がSalesforce、カスタマーサービス部(以降CS部)がZendeskと部門ごとに違うツールを利用してきたことにより、データ一元管理がされてない、非効率な業務が多々発生している状態でした。 この記事ではService Cloud導入をどのように実現したかを説明します。
1.導入前の大きな課題
顧客対応履歴の分断
営業部はSalesforceを利用して顧客対応をし、CS部ではZendeskを利用して顧客対応をしていました。分断されることで、1顧客に対しての対応履歴がすべて網羅できない状態になり、両部署でどのようなやりとりをしているか、素早くキャッチするのが困難になっていました。
顧客情報が正しくない
SalesforceとZendeskはそれぞれ内部で顧客情報を管理しています。Salesforceにすべての情報が連携されておらず、一部の顧客で情報の不足や二重管理になり、正しい情報が一元管理されていないため判定が困難な状態でした。
顧客に関連する情報がZendeskで管理されていない
お問い合わせ対応のスタートはカメラのシリアルナンバーを頂いてからスタートします。シリアルナンバーはSalesforceで管理されているため、ツールを横断してSalesforceで検索し状況把握、Zendeskに戻り顧客へ返信する といった非効率な作業が発生していました。
2.実現方法
業務要件の洗い出し
Zendeskで実現できていた機能がSalesforceで実現可能か否かの洗い出しを実施。 実現不可の場合は、どうやって実現するか、そもそも運用でカバーできる等も検討し、すべての機能を実現するのではなく、時には業務をシステムに合わせてもらうなど取捨選択をしつつ、一つ一つ丁寧に方針を決めていきました。
流入チャネルの整理
各流入チャネルからのお問い合わせデータ連携先がZendeskに集約されていたため、Zendeskにどういうお問い合わせが集約されているかの洗い出しを行いました。
標準とカスタムする範囲の選別(※実装の一部分を抜粋)
標準機能を用いて対応
- メール機能
- 顧客満足度アンケート
- チャット機能
- Slack連携(Slackワークフローを利用)
- 電話機能(MiiTel)(※一部カスタマイズ実施)
開発して対応
- お問い合わせフォームの連携(DataSpider Cloud)
- プラン変更/解約申請の連携(DataSpider Cloud)
- 業務効率化のためのSalesforce内カスタマイズ(関連情報の自動取得/他システム連携)
お問い合わせ情報を正しい顧客へ紐づける運用の意識付け
一番のメリットはすべてのお問い合わせが適切な顧客に紐付けられ対応履歴が網羅できる点です。データの紐づきが汚い状態では、導入しても意味がありません。紐付けはなるべくSalesforceで自動的に行いますが、どうしても手動で対応しないといけない部分も発生しました。Zendeskではあまり意識していなかった顧客データ管理の意識付けを行い、正しい情報が正しい顧客へ紐づくようにオペレーションを見直して業務側へ周知を徹底しました。
Zendeskデータ移行
Zendesk内で保管されていたお問い合わせ履歴をすべてSalesforceへ移行しました。Zendeskの仕様上、データを抽出しただけではSalesforceへデータ移行はできず、データ成形方法から検討しつつ、移行作業を実施しました。
3.試行錯誤した点
どのような業務をしているかのキャッチアップ
システム導入する前に大切なことは業務がどのような流れで進んでいるかという業務を理解することです。私は入社して早々にService Cloud導入を一任されました。入社研修でCS部がどのような業務をやっているかの座学はあったものの、実際に業務メンバーとの会話ではイメージが沸きずらい状態でした。当時業務PMを担当していた方に不明点あればすぐ確認し、どういう業務をしているかの理解から重点的に行い、周りの方にもサポートを頂きながらプロジェクトを推進していきました。特に業務PMの方にはとても助けられました(笑)
Zendesk中心の機能要件
「Zendeskで出来ていたことだからSalesforceでもやってくれ」 という無理難題な要望もありました。運用でカバーするか、システム側で頑張って実装するか、実装した場合スケジュール的に間に合うか等考えた上でどこで着地させるか、という折衷案出しに苦労しました。
データ移行
Zendeskから出力されるデータはJSON形式になっており、Salesforceへ投入するにはCSV形式への変換が必要でした。 JSONデータを扱うことが私自身初めてでしたので移行に必要な項目がどのような構造となっているかから調査を始めました。変換にはCLIコマンドとPythonを用いました。 また、お問い合わせのデータだけではなく、紐づくメールデータ、添付ファイルデータも対象でしたので、3つのデータが正しく出力されるように相当苦労しました。
データ投入のリハーサルは何度もトライしながら、正しいデータでSalesforceへ移行されるよう慎重に対応をしました。またメールデータは通常のSalesforceレコードの容量(2KB)とは異なっていたため、Zendeskデータをすべて移行した際どの程度データ量が増えるかの試算も必要でした。今思い返すとでService Cloud導入プロジェクトで一番パワーを使った作業だったと思っています。
4.取り組んだ感想
今回のプロジェクトでは、要件定義〜開発、リリース、業務調整、運用定着支援まで幅広い領域に携われました。急遽発生する業務要件の変更や追加要望も多々ありましたが、業務側とシステム側がより良い関係を構築することでスムーズに推進できました。どちらかが一方的に要望を伝えるのではなく、お互いの理解があってこそ実現できたプロジェクトだと感じました。「現場を知る」という大切さをこのプロジェクトを経て学べることができたと思っています。
結果、Service Cloudを導入して良かったと思っています。Salesforceに情報が一元管理されることで、顧客対応履歴が瞬時に見れる世界です。また業務効率化という点でもService Cloudの機能が十分発揮し、業務側の力になっていると感じています。
セーフィーのビジネスが拡張していくと同時に新たなカスタマイズ要望もたくさん増えていくと思いますので、業務がスムーズにいくよう引き続き改善、サポートをしていきたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。