自己紹介と本日のテーマ
こんにちは、セーフィーで品質保証業務に従事しているQAエンジニアの佐藤です。
本日は「テストケース作成前の観点出しの重要性」をテーマにお話しします。 このテーマを選んだ理由は、最近のQA業務で実際に起きた出来事から、観点出しの重要性を改めて実感したためです。
今回のブログでは、観点出しをおろそかにした結果発生した問題と、その後の改善策について、自戒の意味も含め共有しようと思います。
伝えたいこと
ソフトウェア開発において、品質保証の一環としてテストの実施が不可欠です。そしてそのためのテストケースの作成が必要となります。 しかし、軽微な修正や工数不足などで見落とされがちなのが、テストケース作成前の「観点出し」です。 この記事では、観点出しをおろそかにした結果発生した問題と、その後の改善策について共有します。
発生した問題
僕の担当していたプロジェクトは少数の開発メンバーで限られたリソースの中で開発を行っていました。 最近は開発メンバーや企画メンバーが増え、AIを利用したアプリをリリースするなど、僕が入社した2022年よりも高度な技術や、広い知見が求められるサービスおよびアプリが増えているように感じています。
以前はリリースごとの追加機能のボリュームが少なく、また携わるメンバーも少なかったため、観点の抽出はメンバー同士のコミュニケーションで完結でき、形式的な観点出しのアウトプット資料などを作ることなく進めてしまっていました。
また、自分自身観点出しの重要性がわかっておらず、そのままテストケースを作成したほうが早いのではないかという思いもあったことから、あまり熱心に観点出しを実施してきませんでした。
そのような状況の中で初めて自分が主体となってテスト設計・実施を行う場面がやってきたのですが、以下のような事が発生してしまいました。
- 実施すべきテストが実施されずにソフトウェア品質の低下を招いた
- テストケースの体裁や手順や期待値などのレギュレーションにも一貫性がなく他のメンバーが見たときに混乱を招いた
上記のことから結果的にテストケースを一から作り直さなければならず、より作業工数が増大してしまうという大変な思いをしました。
観点出しを行ったことによる効果
些細な改修内容でもテストケースの作り直し等の問題を避けるため、テストケースを作成前には必ず観点出しを行うように心がけました。基本的なことですが非常に重要な作業で、具体的には以下の流れで作業を実施しました。
QAチーム内での観点のレビュー: 該当のプロダクトのQAに携わるメンバーにレビュー依頼を行い、機能ごとにテストすべきポイントを洗い出す
ポイントの洗い出しには各機能がどのような要件を満たすべきか、どのように動作するのが期待値なのかを要件定義書などをしっかりと確認することや、それでも不明な点は事前に開発チームへのヒアリングを実施、エラーや例外時の状況でどのように動作するかなどを念頭に入れて行いました。
開発・企画メンバーとの観点レビュー会の実施:QAチームのレビューを基に作成した観点表を開発・企画メンバーに共有し、テスト範囲や内容についての合意を得る
ここでは実際に作成した観点の共有をする上で文字だけではくパターン表を用いた見やすい資料作りを心がけたり、追加で確認したい事項などを事前にまとめておきレビュー会当日の限られた時間の中でスムーズに話すことができるように工夫をしました。
以上のことを踏まえて今回テストケースの作成前に観点出しを行った結果、以下のような効果がありました。
- テスト観点の可視化を行うことでの開発、QAメンバーとの意思疎通のコストの削減
テスト観点の可視化により、何のためのテストか誰が見てもわかりやすくなり、QAメンバーからテストケースの手順や、期待値についての質問を受けることが少なくなりました。 また、複数のプロダクトのQAが重なっている場合では特に負担となるのはQA期間中の開発チームへの仕様確認です。 あとから追加で仕様確認することはある程度は仕方ないと思ってはいますが、観点漏れを少なくすることでその仕様確認する件数を減らすことができます。 その結果、全体の工数も削減することができました。
テスト観点の網羅性が向上したことでのテスト自体の品質の向上
テスト実施対象の粒度の均一性や、テスト項目作成にあたっての体裁の一貫性の向上
観点出しを行うことで、テストケースの抜け漏れが大幅に減少しました。 あらかじめ定めた観点に沿ってテストケースを作成することで、テストケースの組み立て方を整理しながら作成することができ、誰が見ても理解しやすいテストケースにすることができたと感じています。
まとめ
これらの経験を通じて、テストケースを作成する前に「観点出し」を行うことの重要性を知ることが出来ました。 時間が限られている中でも観点だしを省略せず行うことで、結果的に効率的かつ効果的なテストケースを作成することができるので、どのプロダクトにおいても観点出しを作業のフローに取り入れ、品質向上を目指すことが重要だと感じました。
最後に、セーフィーではより良いプロダクトを作り上げ、成長していく仲間を探しています。 この記事を読んで共感する点がありましたら、ぜひ採用ページもご覧ください。 ※採用情報の詳細は こちら からご覧いただけます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。