セーフィーCTOの森本です。
この記事はSafie Engineers' Blog! Advent Calendar 1日目の記事です
2020年2月より開始したセーフィーのテックブログですが、一時期運営が危機的な状況に陥ったこともありました。 しかし、有志からなる運営チームのガンバリにより2021年9月以降着実に更新を継続して行ってくれており、様々な会社さんからテックブログ継続の難しさを伺っている中、非常に喜ばしく感じている今日此頃となっています。
そんな中、運営チームが2022年の年末に向けてアドベントカレンダーをやろうと熱く提案してくれました。 月イチの更新すらままならなかった当初を知っているだけに、ホントに出来るのかという気持ちもありましたが、当社カルチャーでも「迷ったときはやってみる」と謳っていますのでこれはやるしか無いなと言うことでGOを掛けた次第です。
今回はそのトップバッターという事で、当社で今年初めから注力し開発している項目の一つである解析プラットフォームについて紹介致します。
セーフィーとは
既にテックブログで何度も紹介済みかとは思いますが、セーフィーはクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」を運営しています。 safie.jp
カメラにより撮影した大量のデータをクラウド上に保存するとともに、必要に応じてユーザーへLive動画、過去動画を配信したり、動きや異常音が発生した場合にその旨を通知するような機能も提供しています。
インターネットに繋ぐだけで簡単に利用できますが、使いやすさやセキュリティを意識した作りとなっており、広くお客様にご利用頂いています。 現在17万台を超えるカメラを運用しており、20PBに迫るデータが当社システム上に蓄積されています。
また、カメラから取得したデータを解析し、様々な現場の課題解決につなげるようなサービスも既に複数提供しています。
- Safie AI People Count
- Safie OneとStore People Detection Pack
このようなサービスを実現する上では、旧来の手法やAIを用いた画像解析技術の活用が必須となります。 最近はデバイス側で簡易的なAI処理が駆動できるような、所謂エッジAIカメラやエッジAIデバイスが販売されていますが、解析する内容によって必要なコンピューティングリソースも大きく異なり、ものによってデバイス側で実行出来ない事も多々あります。 また、エッジAIカメラはまだまだ普及している訳ではないので、AI機能を搭載していないカメラが大多数を占める状況となっていますが、当社ではデバイス、クラウド環境共に自分たちで開発、管理していますので、これらの画像解析をどちらでも適した環境で実現できるところに大きな強みがあります。
セーフィー解析プラットフォームについて
先程ご紹介したように、当社では複数の画像データ解析をベースとしたサービスを提供しています。 また、当社データを取得し画像解析を行うような連携サービスを提供しているパートナーさんも存在しています。 当社録画サービスをご利用中のお客様からご相談を頂く事も頻繁にあり、明確に画像データ解析のニーズの高まりを感じています。 一方で、現状では上記サービスそれぞれの開発に数ヶ月以上かかっている状況にあります。
例えば動画から特定の物体を検出するようなサービスを考えた場合にも、解析部分の開発だけでなく、データ入力IFの設計開発、解析エンジン駆動部分の設計開発、開発結果の保存部分、取得部分の設計開発、ものによっては結果を表示するUIの設計開発と多岐にわたる項目の開発が必要となります。
解析系のサービスはまだまだこれから市場開拓をしていく必要がある中で、もっと簡単にソリューション開発を実現出来なければ、大きく市場を広げて行く事は難しいと感じています。
上記の課題を解決するために、セーフィーでは解析プラットフォームの開発を進めています。 解析プラットフォームは主として以下の機能を提供します。
- ①開発したAI等に基づく解析エンジンをセーフィーのクラウドシステムに登録
- ②必要に応じ、セーフィークラウドシステム、セーフィー対応カメラに展開し解析を実行
- ③解析結果をセーフィークラウドシステム上のデータベースに保存
- ④解析結果をセーフィーAPI経由で取得し利用可能
現在システムの1stステップがほぼ完成しており、最初の解析サービスの開発を進めている状況となっています。 こちらの仕組みにより、自社、他社問わず解析エンジンだけ開発すればすぐに新しい解析サービスの提供が開始出来るようになると期待しています。
但し、画像解析系のサービスを広げていく上では他にも課題が存在しています。 解析系サービスでは精度が非常に重要な要素を占めますが、画像解析はカメラの設置された環境により精度が大きく影響を受けるという問題があります。 カメラの設置する画角や、設置環境の明るさ、設置環境に検知対象以外にどのようなものが映り込むかなど、様々な事柄により期待する精度が実現できない事があります。
これにより、設置コストやサポートコストが上がったりするだけでなく、結果的にお客様の期待値を裏切るような形になってしまうこともあり得ると考えており、解析サービスを広げていく上で合わせて解決が必要な問題と捉えています。
この問題を解決するために、セーフィーでは個別学習の仕組みの整備を検討しています。
- ⑤特定の環境下のカメラのデータを元に自動(目標)で個別学習を実行し、問題のある環境下でも精度の担保が出来るAIモデルを生成する
この仕組みを合わせて整備する事により、設置コスト、サポートコストを抑える事が出来るだけでなくお客様の期待にきちんと向き合う事ができ、結果的に解析系サービスを広げていく事が本当の意味で実現出来ると期待しています。
解析プラットフォームの今後
上記にてご紹介した解析プラットフォームですが、現在も開発を継続しており、目下以下を目標に対応を進めています。
解析プラットフォームベースのソリューションを確実にリリースする
パートナーさんにも解析プラットフォームベースのソリューション開発とリリースまで実化して頂く
また、合わせて以下の項目も進めています。 ※解析プラットフォームそのものには含まないですが
多様なアプリケーション開発が簡単に行えるようセーフィーAPIやSDKの整備を進める
AIモデル開発そのものがセーフィークラウドシステム内で完結して簡単に行えるような環境を整備する
解析プラットフォームにより、単一環境で容易に画像解析ベースのソリューションが構築できるようになるだけでなく、実運用時の環境要因による精度劣化を低減する事が出来るようになる事が期待できます。 ここまでやることにより本当の意味で解析サービスの利用が広がっていくのではと考えています。
最後に
上記解析プラットフォームの開発を更に進めると共に、2023年は上記を用いた解析サービスによる業界DXを確実に実現していきたいと考えています。
当社としては今後画像解析システムとの連携を更に強化していくべく開発業務に取り組んでいますが、まだまだエンジニアさんが足りていない状況です。ご興味がある方はお気軽にご連絡頂けますと幸いです。