この記事はSafie Engineers' Blog! Advent Calendar 1日目の記事です。
- はじめに
- そもそも「1on1」とは? 定義の再確認
- 1on1 のゴール(ありたい姿)
- 人にフォーカスした対話型1on1のすすめ
- 具体的な質問例1:「最近どう?」をより良くする工夫
- 具体的な質問例2:未来志向への誘導
- 1on1 は組織開発の最前線
- 最後に
はじめに
セーフィーの VPoE 兼 開発本部 エンジニアリングオフィス 室長の武田です。
2023年にセーフィーに入社し、エンジニア組織の組織開発に取り組むエンジニアリングマネージャーとして活動しています。セーフィーでは創業当初から 1on1 文化が根付いており、私自身2025年には600件以上の1on1を実施しました。前職を含めたエンジニア組織開発の経験と、コーチングや本質行動学などの学びを活かしたトライ&エラーから得た、1on1の本質をご紹介します。
そもそも「1on1」とは? 定義の再確認
私が考える1on1の定義は以下の通りです。
💡 1on1とは?
1on1とは、メンターとメンティーが定期的にマンツーマンで行うミーティングのこと。
人事評価を目的とした面談とは異なり、人の成長促進と組織の活性化を主な目的とする。上司・部下の関係性に限らず、人と組織の成長を促すための対話の場である。
この1on1の定義には「これが正解」という型はありません。
1on1では「業務の話はすべきではない」という一般的な風潮もありますが、私はその限りではないと考えます。 なぜなら、メンティーが目の前の業務で困っているのに、それを解決してくれるかもしれない人に聞けないのはフラストレーションがたまるだけ。無理にキャリアの話に誘導するより、メンティーが本当に求めている話をすることが、結果的に成長につながります。
1on1 のゴール(ありたい姿)
では、目指すべき1on1のゴール(ありたい姿)は何でしょうか。
それは「次も1on1をしたい」と思ってもらえる状況を作ることです。
1on1は、一度きりのイベントではなく継続してこそ意味のあるものになります。 前向きさを維持し、対話を重ねることで初めて、人の成長と組織の活性化という目的に近づけます。
| メンターのスタンス | メンティーの状況に合わせて臨機応変に対応する |
|---|---|
| 具体的な行動 | 業務の話も、キャリアの話もする。コーチングもすれば、ティーチングもする |
| 重視すること | その瞬間や1on1直後に心地よい時間を作ることではない、時にはネガティブなフィードバックも必要 |
| 目指す状況 | 対話後、時間経過と共に気づきがあり、行動変容を促し、結果が伴うこと。そして、対話が継続できていること。 |
人にフォーカスした対話型1on1のすすめ
「次もやりたい」と思ってもらうためのコツ、それは「対話しやすい状況」を作ることです。 対話しやすさの鍵は、「事(コト)」ではなく「人(ヒト)」にフォーカスした質問をすることにあります。
✅ 「事」への質問 vs. 「人」への質問
例えば、メンティーが「釣りに行ってきました」と話した場合の質問例です。
| 質問の焦点 | 具体的な質問例 | メンティーの受取られ方 |
|---|---|---|
| 事 (コト) | - どこ行きましたか? - 釣れましたか? |
事実の深堀り |
| 人 (ヒト) | - 楽しめましたか? - 釣り好きなんですか? |
自分に向き合ってくれていると感じ、話しやすくなる |
人の感情(楽しい、好きなど)に寄り添う質問を意識するとより話がしやすくなります。
例えば仕事で失敗したときはなぜ失敗をしたのか?ではなく、その時どう思った?どう感じたか?なぜそう感じたのか?メンターの自分はどう思ったか(例えば悲しかったとか)など、お互いの感情を深堀しシェアすることでより人に向き合えるようになります。
具体的な質問例1:「最近どう?」をより良くする工夫
1on1 の初めに「最近どう?」から始まることはよくあると思います。
ただ、この「最近どう?」だけでは、少しもったいないです。 最初の導入として、ぜひメンターの所感を付け加えてほしいです。
そうするとメンティーはより話しやすくなります。これは、メンターの気持ち(感情)を先に伝えていることで、共感を生みやすくスムーズな対話につながる効果があります。
| より良い質問例 | ポイント |
|---|---|
| 最近どう? 〇〇定例での××の発表良かった。内容もだけどイキイキ話していて感動したよ | ポジティブな所感を伝え、話すきっかけを作る |
| 最近どう? 残業時間が多くなっているようなのでちょっと心配 | 懸念点(心配)を伝え、安全な場で話すことを促す |
❌ 注意すべき質問例
「最近どう?元気がないように思うけど大丈夫?何かあった?」は良い質問ではありません。
なぜなら「何かあった?」は、事の深堀りにつながるからです。本当に元気がないときは、日常の小さなことの積み重ねであることが多く、「特別なことはありません」という回答で対話が終わってしまう可能性があります。
〇 最近どう?元気がないように思うけど大丈夫? 心配です。
心配している気持ちを正直に伝えて反応を待ちましょう。
補足 ちなみに私は1on1が始まる前にその人のGoodポイントを探すという事前準備をよくやります。ネガティブな情報は広がりやすいですが、ポジティブな情報はなかなか表に出てきません。1on1でポジティブ情報が交換できれば組織全体の雰囲気にもつながります。ぜひ、EMはポジティブ情報を常に拾って1on1につなげてほしいと思います。
具体的な質問例2:未来志向への誘導
1on1は過去の振り返り(ふりかえり)になりがちで、ワクワクしにくい傾向があります。過去の結果は分かりきっているからです。
できるだけ未来の話に誘導しましょう。
| 質問例 | 目的 |
|---|---|
| 前回から今回までの 自己満足度、何点 ありますか?(100点満点で) | メンティーの現状認識を引き出す |
| (例:60点と回答)40点足りていないけど、その 40点を増やすためには何が必要ですか? 私も一緒に協力できることありますか? | 次回までのNext Actionをメンティー主体で決め、未来の話へ誘導する |
ここでのポイントは、メンティー側だけでなく、メンター側のNext Actionも決めること(小さなことでOK)。お互いのコミットメントにより、一体感が生まれます。
1on1 は組織開発の最前線
会社や組織は人の集まりであり、組織=人です。
1on1は、その人のことを知るための一番の手段であり、組織開発の最前線です。1on1が機能することで情報が流通し、組織が活性化するきっかけになります。
ぜひEM(エンジニアリングマネージャー)の皆さんには、この1on1を使いこなしてほしいと思います。
正解がないからこそ面白い! この記事が、あなたの1on1を楽しむきっかけになれば幸いです。
📝 まとめ:人に向き合う1on1の5つの要点
| 1. 基本スタンス | 1on1のやり方に正解はない (メンティーの状況に臨機応変に対応する) |
|---|---|
| 2. 目的 | 人(と組織)が成長するために、人(と組織)に向き合う時間。 |
| 3. ゴール | 「次も1on1をしたい」と思ってもらうこと(継続による成長と成果) |
| 4. コツ | 「事」ではなく「人」にフォーカスした質問で、より共感と気づきを与える |
| 5. 価値 | 組織開発の最前線として、情報流通と組織活性化のきっかけとなる |
| 6. 願い | 1on1 自体を楽しもう! |
最後に
本記事では、私が取り組んでいる1on1の実践の一部をご紹介しました。
1on1 は奥深く自分自身もまだまだ足りていない部分があり、常にふりかえりを実施中です。
また、ポイントはほかにもある(例えば、1on1 の情報をどう他の人にシェアして組織変革に使っていくか)と考えており日々奮闘中です。またいつか別の機会にご紹介できればと思います。
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