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新卒一期生が感じたキャッチアップの壁とその打開策

新卒一期生が感じたキャッチアップの壁とその打開策

こんにちは!フロントエンドエンジニアの一氏です。

2023年に新卒一期生として入社し、現在は Safie Viewer (セーフィー ビューアー)のフロントエンド開発を中心に業務に取り組んでおります。

先日、若手エンジニアの課題と乗り越え方というLTに登壇してきました。

【増枠】若手エンジニアの課題と乗り越え方 (2025/04/15 18:40〜)

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本稿では、LTで発表した新卒エンジニアとして入社後に直面したキャッチアップの壁、そしてそれをどのように乗り越えてきたのかをご紹介させていただきます。

新卒エンジニアとして直面した課題:3つの壁

入社後、業務を開始するにあたり、私は主に以下の3つの「壁」に直面しました。

  1. サービスの壁

    弊社の提供するクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」は、カメラをインターネットにつないで、スマホ・パソコンから、いつでもどこでも映像を確認することができるサービスです。また、他システムとの連携やAI解析による業務効率化や課題解決も行っています。

    映像データの汎用性は非常に高く、小売・飲食・建設といった様々な業界で活用することが可能であり、それがSafieのサービスの強みになっています。しかし、裏を返せば映像データを活用したソリューションを実現するには理解すべき領域が非常に広いとも言えます。また、カメラというハードウェアが存在することで、カメラ自体のハードウェア・ソフトウェアの開発、カメラの販売方法や商流、カメラ特有の専門用語の理解も必要になります。

    サービスの全体像、各機能の詳細、そしてそれぞれの業界における活用方法など、キャッチアップすべきドメイン知識の多さに、サービスの理解が最初の大きなハードルとなりました。

  2. 技術力の壁

    私は新卒一期生として入社したため周りは経験豊富な中途入社のエンジニアのみでした。そうした環境下では、自身の経験や知識の不足を痛感する場面が多くありました。実装方法に迷ったり、既存コードの意図を把握するのに時間を要したりと、技術力における周囲との差を感じ、時に自身の成長速度に不安を感じることもありました。新卒の先輩がいない状況で、どのタイミングで質問をするべきか、適切なコミュニケーションの取り方に悩むこともありました。

  3. オンボーディングの壁

私が入社した際の新卒研修のオンボーディングは以下の流れで行われました。

  • 4~7月:エンジニア共通の研修
    • 基礎知識習得(主にUdemy)
    • チーム開発研修
  • 8月:各チームに配属されてそれぞれオンボーディング
    • チュートリアル
    • 簡単なタスクから開始

      新卒一期生として入社したこともあり、当時のオンボーディングは構築段階にありました。エンジニアとしての基礎知識の習得としてUdemyが活用されていましたが、長期間の動画視聴は集中力の維持が難しい側面もありました。また、チーム開発研修やその後のそれぞれのチームへ配属後、トレーナーや先輩社員への質問やレビュー依頼の頻度、タイミングについて手探りな部分があり、コミュニケーションの壁を感じることもありました。さらに、配属後のチームのオンボーディング資料が最新の状態に保たれていない箇所などもありました。

課題克服のための実践と打開策

これらの課題に対し、私は試行錯誤しながら以下の打開策を実行しました。

  1. サービスの壁への打開策:あらゆるドキュメントを読む

    • サービス理解を深めるため、社内に存在するあらゆるドキュメントを読み込むことを徹底しました。サービス紹介資料、詳細な仕様書、ヘルプページはもちろんのこと、Slackでの過去の議論やGithubのリポジトリ、ユーザーヒアリングの議事録に至るまで、関連性のありそうな情報はすべて参照しました。
    • 自身で30分調査しても解決しない不明点については、周囲の詳しい先輩社員に質問することをルールとしました。そして、そこで得られた知識は個人のメモとして整理し、いつでも参照できるようにしました。

      なお、古い仕様に関する情報が追いにくい場合もありましたが、その際は素直に担当者に確認することが最も効率的であると感じました。

  2. 技術力の壁への打開策:コードリーディングと幅広いタスクへの取り組み

    • 技術力の向上に向け、自身の担当するタスクに関連する既存コードのリーディングに注力しました。実際に稼働しているコードを読むことで、チームのコーディング規約や設計思想を実践的に学び、サービスの理解も同時に深めることができました。
    • 自身の技術的な引き出しを増やすことを意識し、比較的小さな機能追加や改修タスクに積極的に取り組みました。簡単なタスクから着実に成功体験を積み重ねることで自信に繋がり、より複雑な課題に取り組むための基礎力を養うことができたと感じています。複雑な機能も、分解すれば単純な要素の組み合わせであることを意識するようになりました。
  3. オンボーディングの壁への打開策:自分たちで改善
    • オンボーディングプロセスの改善には、新卒メンバー自身が積極的に関わりました。Udemyでの基礎学習については、必須範囲を絞り込み、早期にチーム開発研修へ移行するフローを提案・実行しました。これにより、実践的な開発に早期に触れる機会を増やし、チーム開発研修中に必要に応じてUdemyでの学習に戻るスタイルを取り入れました。
    • チーム開発研修においては、レビュー依頼のガイドラインを明確化し、トレーナーが積極的にプルリクエストに関わる体制を構築しました。

      また、日々の業務に関する雑談や、なんでも相談できる1on1の時間を設ける、日報に対してコメント返しすることで、質問や相談の心理的なハードルを下げる工夫を行いました。

    • チーム配属後のオンボーディング資料についても、新しくチームに参加するメンバーが随時更新していく運用を取り入れました。これにより、情報の鮮度を保ち、今後入ってくるメンバーがよりスムーズに立ち上がれるように改善を進めています。

そのほかやって良かったこと

上記の打開策に加え、以下の取り組みもキャッチアップにおいて有効であると感じています。

  • コーチング

    コーチングとは対話を通じて相手の能力やモチベーションを引き出し、目標達成を支援するコミュニケーション手法です。

    上司との定期的なコーチングセッションを通じて、自身の現状や目指す姿、目標について対話する機会を持ちました。これにより、自分一人では気づけなかった視点を得ることができ、客観的に自身の成長課題や進むべき方向性を認識することができました。

  • よもやま(カジュアルなコミュニケーション)

    よもやま話とはとりとめのない話や、決まった話題がない話のことで、私の所属するチームではメンターと何を話しても良い1on1の場をよもやまと呼んでいます。初めは毎日30分、次第に頻度を減らして実施していました。

    業務に直接関連しないことでもカジュアルに話せるよもやまのような場や、Gatherを活用したコミュニケーションは非常に有効でした。普段の業務では聞きにくい疑問点を解消したり、新たな気づきを得たりすることができ、なんでも話すことができるという安心感があります。心理的な安全性は、スムーズなキャッチアップにおいて非常に重要であると実感しました。

おわりに

新卒エンジニアとしてのキャリアをスタートするにあたり、サービスの理解、技術力の向上、そしてオンボーディングプロセスの活用といった様々な面で多くの課題に直面しました。しかし、これらの「キャッチアップの壁」は、主体的に学び、実践し、そして周囲と積極的にコミュニケーションを取ることで、一つずつ乗り越えていくことが可能です。

本稿でご紹介した私の経験が、これからエンジニアを目指す方々、現在キャッチアップに励んでいる若手エンジニアの方々のお役に立てれば幸いです。

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